業績

【著書】

  • Takahashi, N., & Yamamoto, T. (2020). Children and Money: Cultural Developmental Psychology of Pocket Money. Charlotte, NC: Information Age Publishing.

2016年に出版した「子どもとお金:おこづかいの文化発達心理学」の英語翻訳版です。

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  • 高橋 登. (2019).  児童・生徒の語彙力、読解力と読書.  日本読書学会(編). 読書教育の未来. ひつじ書房.

学童期の子ども達の読解の過程について説明しています。また,子ども達はどの様にして豊富な語彙を身につけて行くのか,語彙が豊富であると言うことはそもそもどういうことなのか論じています。

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  • Yamamoto, T., & Takahashi, N. (2018). Possessions and Money beyond Market Economy. In A. Rosa & J. Valsiner (Eds.), The Cambridge Handbook of Sociocultural Psychology (Cambridge Handbooks in Psychology, pp. 333-348). Cambridge: Cambridge University Press. doi:10.1017/9781316662229.019

私たちの「おこづかい研究」の理論的な背景について論じています。

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  • 高橋 登. (2018).  読み書きの発達と支援.  藤野博(編). コミュニケーション発達の理論と支援 (シリーズ支援のための発達心理学). 金子書房.

幼児期から学童期の子ども達の読み書きの発達過程について概説しています。また,併せて読み書きにつまずきをもつ子どもの発達についても説明しています。

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  • 秦野悦子・高橋 登(編). (2017).  言語発達とその支援 (講座・臨床発達心理学).  ミネルヴァ書房.

臨床の場で出会う,多種多様な言語発達上の問題に対処するための基礎理論や評価法を紹介しています。前言語期から学齢期に至る母語の獲得のプロセスについての最新の知見に基づき,支援方法を具体的に論じています。

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  • 高橋 登・山本登志哉(編). (2016).  子どもとお金: おこづかいの文化発達心理学. 東大出版会.

日本・韓国・中国・ベトナム,「おこづかい」を仲立ちに親子関係は,友だち関係は,こう育ってゆく。「文化的道具」としてのお金の姿を手がかりに,それぞれの文化で「大人になる」意味を問い,心理学が「文化」に向き合う視角と理論を探究した4カ国の共同研究です。

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【論文】

  • Takahashi, N., Isaka, Y., & Nakamura, T. (2023). Development of literacy skills for Japanese deaf and hard‐of‐hearing children. Child Development,  94(3) 128-142.

(論文要約) We compared the reading development of 77 deaf and hard-of-hearing (DHH) Japanese children, aged 5–7 (40 females), with 139 of their hearing peers (74 females) in 2018. We assessed each group’s phonological awareness (PA), grammar, vocabulary, and reading of hiragana (Japanese orthography children learn first). DHH children showed significant delays in grammar and vocabulary but only a slight delay in PA. Younger DHH children scored better than their hearing peers in reading. Although PA predicted reading for hearing children, reading predicted PA for DHH children. PA partially explained grammar skills for both groups. The results suggest educational intervention for reading acquisition should be based on not only general linguistic features but also each language’s unique characteristics.

5歳から7歳の聴覚障がいの子ども達(DHH児)と聞こえる子ども達(聴児)の読み能力の比較を行った。DHH児の語彙・文法の成績は聴児と比べると大きな遅れが見られるが,聴覚的な情報の入力が制限されているにもかかわらず,音韻意識の遅れはわずかなものだった。また,平仮名の読みの成績はむしろDHH児の方が高かった。DHH児は,手話,とりわけ指文字を手がかりとして平仮名の読みを学び,それが音韻意識を育てているものと考えられた。

  • 高橋登. (2021). 日本語を母語とする子どもの読み書き能力の発達. 母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究, 17, 1-25.

(論文要約) 読み書きの能力は、すべての教科学習の基盤となるという点で、子どもが身につける能力としてきわめて重要なものである。子ども達は幼児期から文字の世界に気付き、多様な遊びを通じて文字の世界に親しんでいく。特に、日本で育ち日本語を母語とする子ども達にとって、平仮名は習得が容易なものであり、多くの子ども達が就学前に読みを覚えた上で小学校に入学する。小学校1年生はさまざまな読みのレベルの子どもが混在する時期であり、しかも幼児期の遊びを通じた学びから教室での学びへの移行期でもある。この時期の子ども達は、時間をかけて読みに習熟していく。小学校では、子ども達は幼児期に身につけた言語能力を基盤としつつ、より高度な語彙と文法の能力を身につける。このようにして身につけた言語能力は、論理的、抽象的な内容ばかりでなく、多様なジャンルの文章を理解し表現するための言語的な基盤になっていく。

  • 高橋登・中村知靖. (2020). 日本語の音韻意識は平仮名の読みの前提であるだけなのか:ATLAN音韻意識検査の開発とその適用から. 発達心理学研究, 31, 37-49.

(論文要約) 音韻意識は読み習得の前提であり,音韻意識の弱さがそのつまずきにつながることから,音韻意識の適切なアセスメントは読みの習得支援にとって重要な課題である。ところが日本では標準化された検査が存在せず,研究ごとに異なる課題が用いられてきたことから,本研究では,項目反応理論に基づく日本語音韻意識検査を作成することを目的とした(研究1)。問題はタッピング,抽出,逆唱,置き換え,特殊音節のタッピング(拗音,促音,長音)の7 種類の課題からなる。幼稚園年少児~小学校1 年生の計875 名の結果から,問題ごとの困難度・識別力を算出し,計88 項目を項目プールとし,既存の適応型言語能力検査(ATLAN)に実装した。次に,音韻意識と他の言語能力との関係を検討した。研究2では,幼稚園年中児~小学校1 年生計163 名を対象として横断的に,研究3 では年中児25 名を対象として縦断的に,音韻意識と平仮名の読み,および語彙・文法の能力との関係を分析した。その結果,これまでの研究同様,音韻意識は平仮名の読みを説明する要因であることが確認されたが,それだけでなく,語彙や文法のような他の言語能力との間にも関連があることが示唆された。さらに,縦断研究の結果から,音韻意識が後の語彙や文法発達を促進することが示唆され,音韻意識を身につけることによって高まったメタ言語能力がそれを可能にしていると考えられた。

  • ビアルケ千咲・柴山真琴・池上摩希子・高橋登. (2020). 複数言語環境に育つ子どもはどのように読書活動を実践してゆくのか : 社会的環境とのかかわりと言語をめぐる意識の変化に注目して. 質的心理学研究, 19, 105-125.
  • 川端皐月・高橋登. (2020). 小学校1年生はどの様に平仮名の読み書きを学ぶのか : 質的・量的データの組み合わせによる短期縦断的分析. 大阪教育大学紀要. 総合教育科学, 68, 163-178.
  • ビアルケ千咲・柴山真琴・高橋登・池上摩希子. (2019). 継承日本語学習児における二言語の作文力の発達過程 : ドイツの補習校に通う独日国際児の事例から. 日本語教育, 172, 102-117.
  • Takahashi, N., Isaka, Y., Yamamoto, T., & Nakamura, T. (2017). Vocabulary and Grammar Differences Between Deaf and Hearing Students. Journal of Deaf Studies and Deaf Education, 22, 88-104.

小学校1年生から高校3年生までの聴覚障がい児を対象として,語彙と文法,漢字の能力の相互関係について分析した論文です。聴覚障がい児は,漢字に関しては大きなつまずきは見られないものの,文法に顕著な遅れが見られることを明らかにしました。

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  • 高橋 登・中村知靖. (2015). 漢字の書字に必要な能力──ATLAN書取り検査の開発から──. 心理学研究, 86, 258-268.

インターネットを介して利用可能な,項目反応理論に基づく適応型言語能力検査(ATLAN)について,下位検査として漢字書字検査を作成し,信頼性および妥当性について検討しました。

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